自転車ギア比・ギアインチ・展開の計算ガイド|歯数とタイヤ周長から速度まで
公開日:2026年9月5日 更新日:2026年9月1日 運営:シルギア(Analyzegear, Inc.) 対象ツール:自転車ギア比計算
自転車のギアを「重い・軽い」と感じても、それが数字でどのくらいなのかは意外と分かりにくいものです。このガイドでは、フロント歯数・リア歯数・タイヤ周長という3つの入力から、ギア比・ギアインチ・展開(ロールアウト)・速度がどう導かれるのかを、計算ツールの実装に沿って説明します。数式の意味が分かると、スプロケットやチェーンリングを選ぶときの判断がぐっと楽になります。
このツールが計算する4つの指標
入力するのはフロント歯数(チェーンリング)、リア歯数(スプロケット)、タイヤ周長の3つ。任意でケイデンス(1分あたりのペダル回転数・rpm)を加えます。出力は次の4つです。
- ギア比:そのギアの「重さ」を表す基本値。前歯÷後歯で求まります。
- 展開(ロールアウト):ペダルを1回転させたときに自転車が実際に進む距離(m)。
- ギアインチ:車輪の大きさを含めた重さの指標。数値が大きいほど重いギアです。
- 速度:ケイデンスを入れたときだけ表示される、そのギアでの理論上の時速(km/h)。
すべての計算はブラウザ内で完結し、入力した数値がどこかへ送信されることはありません。オフラインでも動作します。
ギア比・ギアインチ・展開の数式
ギア比=フロント歯数 ÷ リア歯数。これはペダル1回転で後輪が何回転するかを表します。ギア比が大きいほど後輪がよく回る=重くて速いギア、小さいほど軽くて登坂向きです。ただしギア比だけではタイヤの大きさが反映されません。同じギア比でも大きな車輪ほど1回転で遠くまで進むためです。
そこで車輪サイズを含めた指標が使われます。まずホイール直径(インチ)=周長(mm) ÷ 円周率 ÷ 25.4。周長を円周率で割れば直径(mm)、25.4で割ればインチに換算できます。これを使い、ギアインチ=ギア比 × ホイール直径(インチ)で求めます。ギアインチは「その車輪と同じ大きさの車輪を直接ペダルで回す旧式自転車に例えた直径」という古典的な指標で、車輪サイズが違う自転車どうしを比べるのに向きます。
もう一つが展開(ロールアウト)=ギア比 × タイヤ周長(m)。ペダル1回転で進む実距離(m)そのものなので直感的です。ギア比が同じでもタイヤ周長が大きいほど展開は伸びます。
速度はケイデンスで決まる
速度は展開から直接計算できます。展開(m)は「ペダル1回転で進む距離」なので、これに1分あたりの回転数(ケイデンス)を掛ければ1分間に進む距離(m)になります。あとは時速に直すだけです。式にすると速度(km/h)=展開(m) × ケイデンス(rpm) × 60 ÷ 1000。×60で1時間ぶん、÷1000でメートルをキロメートルに換算しています。
ここから分かる大切な点は、同じ速度でもギアを軽くすればケイデンスは上がり、重くすれば下がるということです。自分が気持ちよく回せるケイデンス(一般に90rpm前後がよく目安にされますが個人差があります)に合うギアを選ぶ材料になります。
数値例で確かめる(50T/16T・700×25C)
ロードバイクでよくある組み合わせで実際に計算してみます。フロント50T、リア16T、タイヤは700×25C(周長2111mmを目安)とします。
- ギア比=50 ÷ 16=3.125。
- ホイール直径=2111 ÷ 3.14159 ÷ 25.4≒26.45インチ。
- ギアインチ=3.125 × 26.45≒82.7。
- 展開=3.125 × 2.111≒6.60m(ペダル1回転で約6.6m進む)。
- 速度(90rpm)=6.60 × 90 × 60 ÷ 1000≒35.6km/h。
比較のため軽いギア34T/28Tだと、ギア比1.21・展開2.56m・ギアインチ32.1で、同じ90rpmでも速度は約13.8km/hまで下がります。逆にトップの50T/11Tならギア比4.55・展開9.60mで、90rpmで約51.8km/h。歯数を変えるだけで進み方が大きく変わるのが数字で見て取れます。
タイヤ周長の考え方と実測のコツ
ツールには700×23C〜38C、650B、26/29インチMTB、20インチ小径などの周長プリセットが入っていますが、これらはあくまで目安です。タイヤ周長は同じ規格でも銘柄・空気圧・体重(荷重によるつぶれ)で数mm〜十数mm変わり、そのぶん展開・ギアインチ・速度も動きます。正確に比べたいときは実測しましょう。
実測は難しくありません。バルブを真下にして地面に印を付け、自転車をまっすぐ1回転ぶん押し、再びバルブが真下に来た位置までの距離(mm)を測るだけです。得られた値を周長欄に直接入力すれば、プリセットより現実に近い数値になります。周長欄に手入力すると、一致するプリセットがあれば自動で選択され、なければ「カスタム」に切り替わります。
ギアの使い分けと早見表の使い方
ギア選びは「重い=速いが脚に負担」「軽い=楽だが速度は伸びない」のバランスです。登坂ではギア比を小さく(軽く)して脚を残し、ケイデンスを保つのが基本。平地の巡航や下りではギア比を大きく(重く)して効率よく速度を乗せます。同じ速度を出すにも、軽いギアは回転数を上げて、重いギアは踏力で、というように脚の使い方が変わります。
複数の組み合わせを一気に比べたいときは、下の早見表を使います。フロント欄に「50,34」、リア欄にスプロケットの歯数(例: 11,13,15,17,19,21,23,25,28)をカンマ区切りで並べると、全組み合わせの表ができます。表示する指標はギア比・展開・ギアインチ・速度から切り替えられます。フロント2枚の構成で「どのギアが被るか」「一番軽い・重いギアはどれか」を確認するのに便利です。
なお表示される速度は路面抵抗や空気抵抗を含まない理論値で、実走の体感とは差が出ます。あくまで「そのギアで理論上出る速度の目安」として、ギア選びの比較に役立ててください。