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損益分岐点の計算方法|固定費と限界利益率から損益分岐点売上高を求める(値上げ・コスト削減の効き目も)

公開日:2026年7月25日 更新日:2026年8月30日 運営:シルギア(Analyzegear, Inc.) 対象ツール:損益分岐点の計算

「毎月いくら売れば赤字にならないのか」は、価格設定やコスト管理に欠かせない目安です。この損益分岐点の計算ツールは、固定費と変動費率(または実績の売上高と変動費の金額)を入力するだけで、赤字と黒字の境目となる損益分岐点売上高を自動で計算します。入力はブラウザ上で完結し、数字が外部へ送られることはありません。この記事では、式のしくみ・数値例・値上げやコスト削減の効き目まで、ツールに沿って解説します。

損益分岐点とは何か

損益分岐点(売上高)とは、売上と費用がちょうど等しくなり、利益も損失も出ない「赤字と黒字の境目」の売上高のことです。売上がこの金額を上回れば黒字、下回れば赤字になります。ポイントは、費用を性質で2つに分けて考えることです。

  • 固定費…売上が増減しても金額が変わらない費用。家賃、正社員の人件費、リース料、減価償却費など。
  • 変動費…売上に比例して増減する費用。仕入、材料費、販売手数料、外注加工費など。

この2区分に分けたうえで、「固定費を回収しきる売上はいくらか」を求めるのが損益分岐点分析です。分類に迷う費用もありますが、まず大きな費目を自社の実態に合わせて振り分けるのが第一歩です。

計算式のしくみ

計算の鍵になるのが限界利益です。売上から変動費だけを引いた金額を限界利益といい、これが固定費の回収と利益に回せる元手になります。売上に占める限界利益の割合が限界利益率で、式で書くと次のとおりです。

  • 限界利益率 = 1 − 変動費率
  • 変動費率 = 変動費 ÷ 売上高

たとえば変動費率が60%なら、限界利益率は 1 − 0.6 = 0.4、つまり40%です。売上が1円増えるごとに変動費を除いた40銭が固定費の回収や利益に回る、というイメージです。損益分岐点売上高は次の式で求めます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率(= 固定費 ÷(1 − 変動費率))

限界利益率で固定費を割るのは、「1円の売上ごとに固定費を何割ずつ回収できるか」を逆算しているからです。1円あたり40銭ずつ回収できるなら、固定費の 1÷0.4 = 2.5倍の売上で全額を回収できます。限界利益率が低い(変動費率が高い)ほど、損益分岐点は急に高くなります。

ツールの使い方

本ツールは、入力と同時に損益分岐点売上高・限界利益率・変動費率を自動表示します。手順は次のとおりです。

  1. 固定費に、売上に関係なくかかる費用の合計を半角数字で入力します(例: 3000000)。
  2. 変動費の入力方法を選びます。変動費率(%)が分かっていれば「変動費率を直接入力」、分からなければ「売上高と変動費の金額から率を計算」を選び、実績の金額を入れると率が自動で求まります。
  3. 必要に応じて目標利益を入力すると、その利益を出すのに必要な売上高も表示されます。結果は「結果をコピー」ボタンで貼り付けられます。

ページ下部には、限界利益率ごとに損益分岐点が「固定費の何倍」になるかを示す早見表もあり、率の感覚をつかむのに役立ちます。

数値例で確かめる

実際に手を動かして確かめてみましょう。

  • 基本例:固定費が月100万円、限界利益率40%のとき、損益分岐点売上高は 100万 ÷ 0.4 = 250万円。これを超えれば黒字です。
  • 大きめの例:固定費300万円・変動費率60%(限界利益率40%)なら、300万 ÷ 0.4 = 750万円です。
  • 金額から逆算:変動費率が分からなくても、売上高1,000万円・変動費600万円の実績があれば変動費率は 600万 ÷ 1,000万 = 60% と求まり、損益分岐点は同じく750万円です。
  • 目標利益:上の例で月100万円の利益を残したいなら、必要な売上高は (300万 + 100万) ÷ 0.4 = 1,000万円。損益分岐点750万円に目標利益分の250万円を上乗せした形です。

値上げ・コスト削減の効き目を試す

このツールの使いどころは、条件を少しずつ変えて「どの打ち手が一番効くか」を比べることです。売上1,000万円・変動費600万円・固定費300万円のお店(利益100万円、損益分岐点750万円)を例に見ます。

  • 10%の値上げ:販売数はそのままで単価を10%上げると売上は1,100万円に。数量が同じなら変動費は600万円のままなので、変動費率は 600万 ÷ 1,100万 = 約54.5%、限界利益率は約45.5%に上がります。利益は 1,100 − 600 − 300 = 200万円へ倍増。値上げは変動費を増やさず限界利益率を押し上げるため、効き目が特に大きいのが分かります。
  • 固定費の削減:固定費を50万円圧縮できれば、損益分岐点の下がり幅は 50万 ÷ 0.4 = 125万円。750万円が625万円まで下がります。
  • 変動費の削減:仕入交渉で変動費率を60%→55%に下げると限界利益率は45%に上がり、損益分岐点は 300万 ÷ 0.45 = 約667万円へ下がります。

同じ「利益を増やす」でも値上げ・数量増・固定費削減・変動費削減で効き目は異なります。ツールで数字を差し替えながら、現実的に動かせる打ち手を探してみてください。

使うときの注意

損益分岐点分析は採算感を素早くつかめますが、いくつか前提があります。

  • 費用を固定費と変動費にきれいに二分できる前提の概算です。売上が一定段階を超えると増える半固定費(人員追加など)や、商品ごとに限界利益率が違う場合は、式と実態がずれます。
  • 変動費率が100%以上だと限界利益率が0以下になり、売上を増やしても固定費を回収できないため損益分岐点は存在しません。ツールでもこの場合はエラー表示になり、価格や原価を見直すサインです。
  • 実際の売上が損益分岐点をどれだけ上回っているかは安全余裕率((実際の売上 − 損益分岐点売上) ÷ 実際の売上)で確認できます。売上1,000万円・損益分岐点750万円なら (1,000 − 750) ÷ 1,000 = 25%。この余裕が薄いほど売上減少に弱い状態です。

本ツールの結果はあくまで目安で、資金繰りや税務の判断をこれだけで行うものではありません。お金に関わる意思決定では、最新の実数値と、必要に応じて税理士・中小企業診断士など専門家の助言を優先してください。「いくら売れば採算が取れるか」を素早くつかむ入り口としてご活用ください。

「損益分岐点の計算」を使ってみる →

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