贈与税の計算方法をやさしく解説|基礎控除110万円と特例税率・一般税率の違い
公開日:2026年7月18日 更新日:2026年8月30日 運営:シルギア(Analyzegear, Inc.) 対象ツール:贈与税の計算
親や祖父母などから財産をもらったとき、金額によっては贈与税がかかります。「いくらまでなら非課税なのか」「税額はどう計算するのか」と迷う方は多いはずです。じつは暦年課税の贈与税は、1年間の贈与額から基礎控除を引き、残りに速算表の税率をかけて控除額を引くだけの、比較的シンプルな仕組みでできています。このページでは、シルギアの贈与税の計算ツールのしくみと使い方を、実際に計算した数値例とあわせて解説します。
本ツールは、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計額と贈与の区分を入れるだけで、基礎控除後の課税価格・適用税率・贈与税額・実効税率・手取りを同時に表示します。ページ下部には代表的な贈与額の早見表もあり、金額感をつかむのに役立ちます。
暦年課税の基本と、このツールでできること
暦年課税とは、1人の受贈者が1年間にもらった財産の合計をもとに課税する方式です。誰から何回もらったかにかかわらず、その年の合計額で判定します。合計が基礎控除110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。ツールが表示するのは次の項目です。
- 基礎控除後の課税価格(贈与額から110万円を引いた額)
- 適用税率と控除額(速算表の区分)
- 贈与税額と、贈与額に対する実効税率
- 手取り(贈与額から税額を引いた金額)
使い方は次の手順だけです。
- 「贈与額」に1年間の合計金額を半角数字で入力します(例: 5000000)。
- 「贈与の区分」で特例贈与財産か一般贈与財産を選びます。
- 入力と同時に税額が計算されます。110万円以下なら「非課税(0円)」と表示されます。
結果は「結果をコピー」ボタンでメモやメッセージに貼り付けられます。
計算のしくみ ― 基礎控除110万円と速算表
贈与税額の計算式は「贈与税額 =(贈与額 − 110万円)× 税率 − 控除額」です。まず贈与額から基礎控除110万円を差し引いて課税価格を求め、その金額が入る区分の税率と控除額を速算表から選びます。
税率は課税価格が大きいほど段階的に上がる超過累進で、10%から最高55%までの8段階があります。速算表の「控除額」は、本来なら区分ごとに分けて足し上げる累進税額を、一度のかけ算で正しく求めるための調整額です。したがって控除額を引き忘れると税額を過大に見積もってしまいます。ツールは常にこの式どおりに計算するので、引き忘れや区分の取り違えの心配がありません。
特例税率と一般税率の違い
贈与税の速算表には特例税率と一般税率の2種類があります。直系尊属(父母・祖父母)からの贈与で、もらう人がその年の1月1日時点で18歳以上のときは、負担の軽い特例税率が使われ、この財産を特例贈与財産といいます。それ以外(兄弟間・夫婦間・他人からの贈与、受贈者が18歳未満の場合など)は一般税率となり、一般贈与財産と呼びます。
2つの表は、同じ課税価格でも税率や控除額が異なります。課税価格が小さい区分では差はほとんどありませんが、金額が大きくなるほど特例税率のほうが有利になりやすい設計です。どちらを選ぶかで税額が変わるため、区分の判定は正確に行いましょう。判断に迷うときは、贈与者と受贈者の関係、受贈者の年齢(その年1月1日時点)の2点を確認するのが基本です。
具体例で税額を確かめる
親から18歳以上の子へ500万円を贈与した特例贈与財産のケースで確かめます。課税価格は 500万 − 110万 = 390万円。特例税率では390万円は税率15%・控除10万円の区分なので、390万 × 15% − 10万 = 48万5,000円が税額です。実効税率は 48万5,000 ÷ 500万 ≒ 9.7% になります。
同じ500万円でも、兄弟間などの一般贈与財産だと税率20%・控除25万円となり、390万 × 20% − 25万 = 53万円。区分が違うだけで4万5,000円の差が出ます。もう少し大きな例として、祖父から18歳以上の孫へ1,000万円を贈与した特例贈与財産の場合、課税価格890万円は税率30%・控除90万円なので、890万 × 30% − 90万 = 177万円(実効税率約17.7%)。これが一般贈与財産だと 890万 × 40% − 125万 = 231万円となり、差はさらに広がります。手計算では間違えやすいこうした比較も、ツールなら区分を切り替えるだけで即座に確認できます。
相続時精算課税と主な非課税特例
贈与税にはもう一つ相続時精算課税という制度があります。原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択でき、累計2,500万円までの特別控除と、2024年以降は年110万円の基礎控除が使えます。ただし一度選ぶと同じ贈与者からの贈与は暦年課税に戻せず、贈与した財産は将来の相続時に相続財産へ加算されるなどの違いがあります。本ツールは暦年課税専用で、相続時精算課税には対応していません。
このほか代表的な非課税特例として、住宅取得等資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、夫婦間の居住用不動産にかかる配偶者控除(おしどり贈与)などがあります。いずれも適用の要件・上限額・期限が細かく定められており、ツールの計算には反映されません。使えるかどうかで税額が大きく変わるため、該当しそうなときは個別に確認が必要です。
使うときの注意点
税金はYMYL(お金やくらしに直結する重要分野)にあたります。本ツールの結果は速算表に基づく目安・概算であり、税務上の助言ではありません。次の点にご注意ください。
- 入力する「贈与額」は、その年に同じ受贈者がもらった全員分の合計です。1回ごと・1人ごとの金額ではありません。
- 各種の非課税特例や、不動産・株式などの財産評価は反映していません。
- 毎年一定額を贈る約束(定期贈与)とみなされると、まとめて課税される場合があります。
- 税率・控除額・基礎控除・特例は法改正で変わることがあります。
正確な税額や制度の適用可否、申告の要否は、最新の国税庁の情報を確認したうえで、税務署または税理士にご相談ください。本ツールはあくまで一般的な計算式で概算を示すものとしてご利用ください。