相続税はいくら?基礎控除と速算表で総額を自動計算【概算シミュレーター】
公開日:2026年7月17日 更新日:2026年8月30日 運営:シルギア(Analyzegear, Inc.) 対象ツール:相続税の概算
相続が起きたとき、多くの人が最初に不安に思うのが「うちに相続税はかかるのか、かかるとしたらいくらか」という点です。相続税は遺産の総額が一定額(基礎控除)を超えたときにだけかかりますが、その計算は「実際に誰がいくら受け取るか」とは別に、いったん法定相続分で分けたと仮定して総額を出すという独特の手順を踏みます。ここが直感的にわかりにくく、必要以上に身構えてしまう原因になっています。この記事では、基礎控除・課税遺産総額・速算表・配偶者の税額軽減という4つの柱を、具体的な数字で追いながら整理します。あわせて、遺産総額と相続人の情報を入れるだけで総額の目安が出る「相続税の概算」ツールの読み方も説明します。
まず基礎控除を超えるかどうかを見る
相続税の出発点は基礎控除です。金額は次の式で決まります。
- 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産の総額(債務や葬式費用を差し引いた後の課税価格)がこの基礎控除以下なら、相続税は原則かからず、申告も原則不要です。たとえば法定相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除になります。相続人が1人増えるごとに枠が600万円ずつ広がるため、人数が多いほど課税ラインは高くなります。ツールでは相続人の構成と人数を入れると、この基礎控除額と法定相続人の合計人数が自動で表示されます。
計算は「法定相続分で分けたと仮定」して進む
基礎控除を超える場合、国税庁の手順(No.4152)に沿って次の順で総額を出します。
- 遺産総額から基礎控除を引いて課税遺産総額を求める。
- 課税遺産総額を、民法の法定相続分で各相続人に按分する。
- 按分した各取得金額を速算表に当てはめ、一人ずつ税額を計算する。
- 全員分を合計して相続税の総額を出す。
ポイントは、実際の遺産分割がどうであれ、総額はいったん法定相続分どおりに分けた前提で決まるということです。取得金額が大きいほど高い税率がかかる超過累進課税のため、同じ遺産総額でも相続人が多いほど一人あたりの取得金額が小さくなり、総額も下がる傾向があります。ツールではこの総額までを計算し、内訳として基礎控除額・課税遺産総額・遺産総額に対する実効税率も表示します。
法定相続分は相続人の構成で決まる
ステップ2で使う法定相続分は、誰が相続人かによって変わります。主な組み合わせは次のとおりです。
- 配偶者+子ども:配偶者2分の1、子ども全体で2分の1(子が複数なら均等割)。
- 配偶者+父母:配偶者3分の2、父母3分の1。
- 配偶者+兄弟姉妹:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1。
- 子どものみ・配偶者のみ:その全員で均等に分ける。
配偶者は常に相続人になり、それ以外は子ども(第1順位)、父母(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)の優先順位で決まります。ツールでは構成を選び、配偶者以外の人数を入れると、この割合が自動で割り当てられます。
速算表と数値例で検算する
各人の税額は、速算表を使って取得金額 × 税率 − 控除額で求めます。税率は取得金額に応じて10%から55%までの8段階です。実際に計算してみましょう。遺産総額1億円、相続人が配偶者と子ども2人(法定相続人3人)のケースです。
- 基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円。課税遺産総額は1億円−4,800万円=5,200万円。
- 法定相続分で分けると、配偶者2,600万円、子ども各1,300万円。
- 配偶者:2,600万円×15%−50万円=340万円。子ども:1,300万円×15%−50万円=145万円(一人あたり)。
- 合計=340万円+145万円×2人=630万円が相続税の総額です。
遺産総額に対する実効税率は6.3%です。遺産を8,000万円に下げて同じ相続人で計算すると、課税遺産総額3,200万円、配偶者190万円・子ども各80万円で総額は350万円まで下がります。逆に遺産が4,000万円なら基礎控除4,800万円を下回るため税額はゼロです。数字を入れ替えると、税負担が段差ではなく緩やかに変わっていく様子が確認できます。
実際の負担はここからさらに変わる
ここで出る金額は「相続税の総額」であって、各人が実際に納める額そのものではありません。実務では総額を実際の取得割合で割り振ったうえで、次のような調整が入ります。
- 配偶者の税額軽減:配偶者の取得分が1億6,000万円か法定相続分までなら、その分の税額がかからない。
- 小規模宅地等の特例:居住用などの宅地の評価額を最大8割減額できる。
- 各種控除・加算:未成年者控除・障害者控除がある一方、相続人以外が受け取ると税額が2割増える「2割加算」もある。
上の1億円の例でも、配偶者の税額軽減を使えば配偶者分の税額が消え、実際の納付総額は大きく下がることがよくあります。これらは本ツールには反映していないため、表示額はあくまで上限に近い目安と考えてください。
目安として使い、判断は専門家へ
相続税はお金と法律にかかわるYMYL分野で、税制は毎年のように改正され、財産の評価方法にも専門的な判断が必要です。この記事とツールが示すのは、条件を簡略化した概算であり、税務・法律の専門的な助言ではありません。生前贈与の加算や不動産・非上場株式の評価など、実際の申告では個別事情で結果が変わります。金額感をつかむ入口として活用しつつ、最新の税率・控除額は国税庁の情報を優先し、実際の申告や節税の判断は必ず税理士・税務署にご相談ください。ツールの「結果をコピー」を使えば、相談時の前提メモとして内訳を持っていくこともできます。