シルギア

減価償却の計算の使い方|定額法と定率法で各年の償却費を概算する

公開日:2026年8月6日 更新日:2026年8月30日 運営:シルギア(Analyzegear, Inc.) 対象ツール:減価償却の計算

パソコンや車、機械、建物のように何年も使う資産は、買った年に代金の全額を経費にするのではなく、使える期間にわたって少しずつ費用に振り分けます。この配分の手続きが減価償却です。減価償却の計算は、資産の取得価額と耐用年数を入力するだけで、代表的な二つの方法である定額法定率法(200%定率法)について、各年の減価償却費と期末の帳簿価額(未償却残高)を一覧表示するツールです。ここでは減価償却の考え方と二つの計算方法の違いを、実際にツールで得られる数値例とともに整理します。

そもそも減価償却とは

資産の価値は使ううちに少しずつ減っていきます。その目減り分を、決められた期間(法定耐用年数)に配って毎年の費用として計上するのが減価償却の基本的な考え方です。全額を初年度の費用にしないのは、資産が複数年にわたって収益を生むため、費用も収益を得る各年に対応させたほうが実態に合うからです。土地のように使っても価値が減らない資産は減価償却の対象になりません。対象は建物・車両・機械・器具備品・ソフトウェアなど、時間とともに価値が減る事業用の資産です。

ツールの入力と出力

操作はシンプルです。次の順で入力すると、その場で結果が更新されます。

  1. 取得価額:購入価格に、送料や設置費など使えるようにするための付随費用を足した金額を円単位で入れます。
  2. 耐用年数:直接入力するか、「耐用年数の例から選ぶ」で普通自動車4年・木造住宅22年などの近い区分を選ぶと自動で入ります。2〜50年に対応します。
  3. 償却方法:定額法と定率法を並べて比較するか、どちらか一方だけを表示するかを選びます。

出力は、初年度の償却費と償却率のサマリに加えて、年ごとの減価償却費と期末帳簿価額を並べた一覧表です。表は「償却スケジュールをCSVでダウンロード」からExcel対応のCSVとして保存でき、計算結果のコピーもできます。

定額法の計算と数値例

定額法は毎年同じ額を償却する方法です。償却額は「取得価額 × 定額法の償却率」で、償却率はおおむね1÷耐用年数です。耐用年数5年なら償却率は0.200になります。

取得価額100万円・耐用年数5年で計算すると、毎年 100万円 × 0.200 = 20万円ずつ償却します。帳簿価額は80万円→60万円→40万円→20万円と一定ペースで下がり、5年目だけは残存簿価1円(備忘価額)を残すため償却費は19万9,999円になります。費用が毎年ほぼ一定なので見通しを立てやすいのが利点です。建物や2016年4月以降取得の建物附属設備・構築物は、定額法しか使えません。

定率法(200%)の計算と数値例

定率法は初めの年ほど多く償却する方法で、その年の期首帳簿価額に償却率を掛けて求めます。2012年4月1日以後に取得した資産では、定額法償却率を2倍した率を使う「200%定率法」が適用されます。耐用年数5年なら定率法償却率は0.400です。

ただし後半で償却額が細り続けないよう、「償却保証額(取得価額 × 保証率)」という下限が用意されています。通常の償却額がこの保証額を下回った年からは、その年の期首簿価を『改定取得価額』に固定し、以後は『改定取得価額 × 改定償却率』で毎年一定額を償却します。

取得価額100万円・耐用年数5年(保証率0.108、改定償却率0.500)だと、償却保証額は10万8,000円です。実際の償却費は次のように進みます。

  • 1年目:100万円 × 0.400 = 40万円(期末簿価60万円)
  • 2年目:60万円 × 0.400 = 24万円(同36万円)
  • 3年目:36万円 × 0.400 = 14万4,000円(同21万6,000円)
  • 4年目:通常額は21万6,000円 × 0.400 = 8万6,400円で保証額10万8,000円を下回るため切替。21万6,000円 × 0.500 = 10万8,000円(同10万8,000円)
  • 5年目:残り10万7,999円を償却し、備忘価額1円を残す

定額法と比べると初年度が40万円対20万円と大きく、早めに費用化できます。償却の総額は取得価額から1円を引いた額で、どちらの方法でも同じです。

取得価額・残存簿価・耐用年数の考え方

取得価額には本体価格だけでなく、引取運賃や据付費など事業に使うまでにかかった付随費用も含めます。償却の終着点となる残存簿価は、現在の制度では1円(備忘価額)です。かつての「残存価額10%」は廃止されており、この1円は資産を持っている間は帳簿に残し、売却や除却のときに落とします。耐用年数は資産の種類・構造・用途ごとに省令で定められた法定の年数を使います。普通自動車4年、金属製の事務机15年、木造住宅22年、鉄筋コンクリート造住宅47年などが代表例です。正確な区分は国税庁の耐用年数表で確認してください。

少額資産の特例と計算上の注意

金額の小さい資産には、減価償却とは別の扱いが用意されています。取得価額10万円未満のものは使ったときに全額を費用にでき、10万円以上20万円未満は3年で均等償却する一括償却資産、青色申告の中小企業なら30万円未満を年間合計300万円まで即時に費用化できる少額減価償却資産の特例もあります。本ツールはこれらの特例や、期の途中で取得した資産の月割り、資本的支出などは反映せず、1年分の年間額で概算します。

税金にかかわる情報は、あくまで目安としてお使いください。償却方法は資産の種類や届出によって決まっており自由に選べるとは限らず、税制も改正されます。実際の申告や記帳にあたっては、最新の国税庁の資料を確認するか、税理士に相談することを優先してください。減価償却のおおよその金額感をつかみ、定額法と定率法を見比べたいときに、このツールを気軽に活用してください。

「減価償却の計算」を使ってみる →

ほかの記事

住宅購入の諸費用概算の使い方|物件価格のほかに必要な自己資金がわかる 賃貸の初期費用概算の使い方|敷金・礼金・仲介手数料まで合計を自動計算 お得比較の落とし穴|大容量・まとめ買い・増量表示に惑わされず単価で選ぶ 固定資産税の概算の使い方|評価額から年額の目安を計算する(住宅用地の特例・新築減額対応) 為替換算の使い方|円→外貨・外貨→円の読み方とクロスレート・手数料まで 資産の取り崩し(デキュムレーション)とは|資産寿命が何年もつかを試算する

記事一覧をすべて見る →